2023-07-04から1日間の記事一覧
ある村にユダヤ人の助産婦が住んでいた。 ある時、お産を助けた帰りが遅くなって凍てつく夜道を歩いていると、子猫の鳴く声を耳にした。 鳴き声がするあたりをロウソクで照らすと、捨て猫が一匹、凍って死にそうになっていた。 助産婦は、持っていた温かいミ…
二人の男の子が煙突掃除をした。 一人は煤で顔を真っ黒にして下りてきた。 もう一人はまったく煤をつけず、きれいな顔をして下りてきた。 さて、顔を洗うのはどちらの男の子か。 ある人は、「もちろん顔が真っ黒になった方の子が顔を洗うはずです」と答えた…
ある村に、毎日の自分の不幸を嘆いている男がいた。男の言い分はこうだ。「オレの家は狭いうえに、子供が四人もいて、おまけに女房が太っているので、自分は毎日立って寝なければならない。ひどい話じゃないか。こんな狭い家に住むオレほどこの世で不幸な人…
モーゼに連れられてユダヤ人がエジプトから脱出したのは、約束の地カナンに入って良い暮らしをするためのはずであった。 それが40年もの間砂漠の中彷徨い、死ぬほどの苦労をしている。こんな苦痛を味わうためにエジプトを出たのではない、とユダヤ人たちは神…
神は小魚にユダヤ教の大切さを教えようとした。しかし、小魚は「目に見えないものなど価値がない」と関心を持たなかった。そこで、神は一瞬だけ小魚の周りから水をなくしてしまった。 体をバタバタさせて小魚は苦しがり、水がないため鱗も乾いてしまい、それ…
北部アフリカのエチオピアにはユダヤ人がいます。1980年代末、エチオピアの軍事政権は国内のユダヤ人を捕らえ、刑務所に放り込んでいました。 殺害はされなかったものの、食べ物は与えられず、餓死の危険がありました。捕らえられた中には一人のラバイがいま…
今まで真面目に勉強してきた学生が、ふと通りかかった家に鍵がかかっておらず、ドアが少し開いていたので、つい出来心が生じて物を盗んでしまった。この学生は警察に捕まり裁判にかけられたが、「つい出来心で」という弁解は裁判では通らない。 学生は有罪に…
「なぜユダヤ人の瞳は黒いのか」「それはユダヤ人がいつも暗いところにいて、明るいところを見ているからだ」 「なぜユダヤ人の瞳は黒いのか」「それは神が、ユダヤ人が明るいところばかりを見て、楽観主義、享楽主義にならないようにしているからだ」 「な…
明日に種を蒔け。夕べにも手を休めてはならない。それとこれ、どちらの種の芽が出るのか、あるいは双方等しくし種の芽が出るのか、お前にはわからないのだから。 リスク分散とダイバーシティ リスク分散とは、「資金を様々な金融商品に分けて投資すること」…
「人にお金を恵む時は、全員に配ったほうが良い。もらった人が恵んでもらったという惨めな気持ちにならないで済むからだ。 しかし、どうしても一人の人にお金を恵む時は、むしろその人にお金を貸す形を取った方が良い。貸し借りは対等だから、借りたほうが惨…
神が怒ってこの地上に大洪水を起こされた時、ノアの方舟にだけは男と女、そして動物もオスとメス一番ずつ を乗せられた。 最後に「善」が方舟に乗ろうとしてやってきたが神は「カップルでしか乗せない」と言われ「善」の乗船を 拒否された。 そこで「善」は…
昔、 あるところにアダムスという青年が住んでいた。 彼はユダヤ教の勉強をしていたが、一つの疑問に突き当たり、自分では解決できないでいた。 「なぜ神は良い人に不幸を与え、悪い人に幸せを与えるのか?」 それがアダムスの解決できない疑問だった。 ある…
ある村に貧しく若い夫婦が住んでいた。 あまりに貧しいので、男は出稼ぎに行くことにした。 遠い町で八年間働き続け、節約を重ねて袋にいっぱいの金貨を貯めることができた。 男は、さあこれで妻の元へ帰ると、徒歩で二十日間もかかる道のりを急いだ。 いよ…
ソロモン王が世紀の賢人であると聞きつけて、田舎から三人兄弟がソロモン王に弟子入りしたいと申し込みに来た。 三人兄弟―「私たちにぜひウィズダムを授けてください」 ソロモン王―「お前たちにいつウィズダムを与えられるかわからない。私に仕えてみる覚悟…
ある国で大干ばつが起こった。 何日経っても雨は一向にくる気配がない。 作物はすべて枯れ、飲む水がないために家畜は次々と死んでいった。 そんな時に、ある村のラバイが夢を見た。 夢の中で、神がそのラバイに「この次の安息日に服の仕立て屋の主人に、ビ…
エルサレムに信仰厚く、慈悲深い農夫が住んでいた。 彼は大きな農園を営んでいたが、毎日祈りを欠かさず、毎年訪れるラバイたちにも、礼拝所を維持するための献金や、学校をつくるための寄付など、惜しげもなく善を施していた。 ライたちだけでなく、貧しい…
ある村に貧しいけれど謙虚でまじめに暮らしている夫婦がいた。 その夫婦の元に預言者エリジャが貧しい身なりで現れた。 エリジャが一杯の水を乞うたところ、その夫婦は「さぞかしお困りでしょう。お茶と一緒にパンを是非食べていってください。よければ今夜…
ある村に裕福な家庭に育った娘がいた。 娘の両親は熱心なユダヤ教徒だった。 結婚適齢期になったので、娘の両親は良い婿がいないかと探していた。 隣村に裕福ではないが、真面目できちんとした両親に育てられた青年がいた。 その青年はヘブライ聖書をしっか…
あるところに愚かな農夫がいた。 耕作用の牛と荷物運搬用のロバに同じくびき(車を引くために使う横木)をつけて、牛とロバを一緒に進ませようとした。 しかし、牛とロバは足並みが合わず、歩みを止めてしまった。 農夫は「なぜ二匹とも動かないのだ」と怒り…
ユダヤの母親が子どもに「鶏小屋に行って、鶏の卵を取っていらっしゃい」と用事を言いつける。 子どもは、鶏小屋に行って、両手に一杯の卵を抱きかかえて台所に戻ってきた。 母親は「どうして両手に一杯の卵を持ってきたの?」と聞く。 子どもは「だって一回…
10個のクッキーを子どもに与える場合は、次のように行うべきである。 最初の日に1個、2日目に2個、3日目に3個、そして最後の日に4個与える。 そのようにすれば、子どもは楽しみで期待に胸を膨らませていくようになる。 次に最初に全部与える方法、あ…
鳥の巣が大嵐に巻き込まれ、このままでは巣もろとも三羽のヒナも地上に落下してしまう危険が迫っていた。 母鳥は海を渡って安全な岸にヒナを避難させようと思った。 しかし、大雨と強風の中、一度に三羽のヒナは運べないので母鳥は一羽ずつ運ぶことにした。 …
ある村に、粉屋の男が住んでいた。 妻と二人の子供がいて、来る日も来る日も一日中粉まみれになって働いていた。 そんな日々の繰り返しに嫌気がさし、もっと楽しいパラダイスがあるのではないかと、粉屋は考えた。 あるとき、粉を買った客と雑談をしていると…
中世のヨーロッパでは、差別されたユダヤ人が領主から何かにつけて難癖をつけられたり、無実の罪を着せられ、処刑されることが多くあった。 あるユダヤ人が無実の罪で捕まり、裁判官でもある領主からこう言われた。 「お前のユダヤの神は、よほど偉い神だと…
ある国のお姫様が森の中で道に迷ってしまった。 どの道をたどっても行き止まりで、何日間も森から出られなかった。 すると森の奥で一人の白髪の老人に出会った。 お姫様は、これで助かったと思い、「私は道に迷ってしまいました。どの道をたどればこの森から…
あるラバイが旅をしていた。 ラバイは犬と羊を連れ、聖書を読むためのランプを持っていた。 一日歩き続け、陽もとっぷり暮れたので、ラバイはその夜泊まる場所を探した。 ほどなく粗末な納屋を見つけて、そこで寝ることにした。 しかし、まだ寝るには早いの…
中世のあるときに、二人のユダヤ人の乞食が、キリスト教王国フランスにやってきた。 二人は生き延びていくために、お金を集めようと考えた。 一人はユダヤ教の象徴のダビデの星を置いて、道端で恵みを乞うた。 もう一人は、十字架を布の上に置いて、道行く人…
ある時、船が嵐に遭って難破した。 流れ着いたのはフルーツのたわわに実る島であった。 船はその島で修理を済ませてから出航することになった。 乗客は三人いた。 一人の乗客は、いつ修理が終わって船が出てしまうかわからないので、取り残されたら大変だと…
ある時、アラブの若者が商人として初めて砂漠の横断の旅に出た。 途中で砂嵐があると何日も足止めをされるので、用心のために三日の行程に必要な水樽の倍の六樽の水を運ぶために、都合二頭のラクダを買った。 ラクダは目的地に着いて売ればいいと考えた。 と…
ある日、キツネが葡萄畑のそばを通りかかった。 あまりにもおいしそうな葡萄が垂れ下がっているので畑に入って取ろうとした。 ところが、葡萄畑はしっかりと柵に囲まれていて、太ったキツネはその隙間を通れない。 そこでキツネは考えた。 「よし、それなら…