【キツネと葡萄畑】タルムード リスク・コントロール

ある日、キツネが葡萄畑のそばを通りかかった。

あまりにもおいしそうな葡萄が垂れ下がっているので畑に入って取ろうとした。

ところが、葡萄畑はしっかりと柵に囲まれていて、太ったキツネはその隙間を通れない。

そこでキツネは考えた。 「よし、それなら野うさぎを捕まえるのをやめて何日も空腹を我慢すれば、痩せて柵の隙間を通れるようになるに違いない」

 

キツネは餌を獲る狩りをやめて自分の巣の中に何日もこもって、空腹をじっと我慢した。 やっと柵の隙間を通れるぐらいに痩せてきたので、フラフラになりながら巣穴から出て、葡萄畑の柵をすり抜け、お目当ての葡萄にありついた。

 

その葡萄の美味なこと。 あまりに美味しいので、ついついキツネは夢中になってもうこれ以上胃に入らないほど何房も食べ続けた。

そして、実っていた葡萄を全部食べ尽くしてしまった。 ハッと我に返ったキツネは、自分の腹が葡萄でパンパンに膨れ上がって、入ってきた柵を通り抜けられなくなってしまったことに気がついた。

 

このままでは自分の巣穴に戻れない。 そこでキツネは考えた。 2つのオプションがあると。

・オプションAは、苦しいけれど食べた葡萄を全部吐き出して胃袋を元のペシャンコに戻す。

・オプションBは、猟師に見つかる危険を冒して柵の中にとどまり、葡萄の木の間に身を隠して、入ったときと同じように痩せるまで待つ。

 

さて、キツネはどちらを選択したのだろうか?

 

 

AもBも取らない。 全部吐き出したのでは何日も空腹を我慢した甲斐がないし、柵の中にとどまるのでは命の危険があってリスクが大きすぎる。

それでは葡萄を最初からあきらめるのかといえば、そうではない。

ユダヤ人は行動に移る前にリスクを分析する。 リスク・コントロールユダヤ人の習性なのである。

リスク・コントロールとは、リスクと成果が均衡する点を探すことであるが、大多数のユダヤ人は「最小リスクの最小成果」を選ぶ。

一か八かは「最大リスクの最大成果」を狙うやり方で最も反ユダヤ的な選択だ。