【用心しすぎたアラブの商人】タルムード 過剰な用心は良い結果を生まない 用心の「適正」を考えよ

ある時、アラブの若者が商人として初めて砂漠の横断の旅に出た。

 

途中で砂嵐があると何日も足止めをされるので、用心のために三日の行程に必要な水樽の倍の六樽の水を運ぶために、都合二頭のラクダを買った。

ラクダは目的地に着いて売ればいいと考えた。

 

ところが砂嵐はなかったものの、途中で樽の重さにラクダがへばり、まったく歩けなくなってしまった。

やむを得ず若者はラクダを二頭とも捨て、一番重要な積荷だけ背中に背負って歩くことにした。

 

ところがである。 半日も歩かないうちに、砂嵐が襲ってきて、まったく方向がわからなくなってしまった。 そこでその場に留まり、砂嵐が収まるのを待つことにした。

しかし、砂嵐は三日三晩続き、食料も尽きてしまった。

 

四日目の朝、ようやく砂嵐は収まったが、若者には積荷を背負って歩く力は残されていなかった。

もはや選択の余地はない。 若者は積荷を捨て、かろうじて水筒のみを腰に下げ、命からがら近くの村にたどり着いた。

 

彼は、ラクダ二頭も、大切な積荷も、すべて失ってしまった。

 

 

過剰な用心は良い結果を生まない 用心の「適正」を考えよ

過剰な用心がさらに過重な用心を呼び、逆に危険だ。